士は・・・
「宴会が毎日のように行われ
そんな中何故か、
私の二人の姉が慌しく嫁いだんだ」
孔明さんは解説書を読むように
恒温で当時を語り続けた。
「劉表の歓待が豪勢になればなるほど
私は不安になった・・・が・・・
叔父は・・・覚悟していたのかもな・・・」
孔明さんは寂しそうに笑った。
これ以上聞いたら、孔明さんの
傷口に塩を塗りこむことになるかもしれない・・・
私は、もういいですよ、と言おうとした。が、
「元直兄、玄子、最後まで聞いてくれるか?」
「も、もちろん」
私と元直さんは姿勢を正して返事した。
玄叔父さんは、同行を願う孔明さんを
荊州に残したまま、その後間もなく
劉表の命で豫章へ行ったのだと言う。
「叔父が劉表の命により豫章へ赴いてすぐに、
朝廷・・・宦官への賄賂の見返りに
豫章太守に命じられたのであろう、
朱皓が攻め込んだんだ。
玄子、お前が叔父の立場ならどうする?」
朝廷に命じられたほうが正式?
いや、でも元々は劉表の領地だったんだし
何より劉表との友情重視だよね。
「劉表に援軍を頼む」
「なぜ?」
「だって、劉表のために
豫章に行ったんじゃん!」
そうだよな、と孔明さんは微笑した後
「あいつが、劉表が叔父に送ったのは
援軍ではなく、見殺しという道だったんだ」
「あ・・・」
元直さんは初めて聞いたようで、
声にならない同情の溜息を吐いた。
「兵糧も兵もなければ戦いようがなく
叔父は捕らえられた。
その時、敵将は降伏を促したが
叔父は・・・
『士は己を知る者の為に死す』
と命と引き換えに信念を貫いて・・・
惨殺されたんだよ」
孔明さんの瞳は氷のように凍てついていた。
「助けようとさえしなかった劉表・・・
いや、この乱世、主君の仮面に踊らされた
叔父が・・・虚しいな・・・」
なんか、このままじゃ
孔明さんの心まで凍てついてしまう・・・
「叔父さんがそういう心の持ち主だからこそ
孔明殿は、元直殿と心友として
解り合えているんだよね」
え?と孔明さんが私をみた。
「そうだろ。
俺たちと劉表ごときを
一緒にされちゃあ、困るぜ、孔明」
元直さんが珍しく真面目に熱い眼差しを見せた。
「元直兄、玄子・・・」
孔明さんは我に返ったように
ハッとして、白羽扇を左右させながら微笑んだ。
「ほぉ、KYは撤回してやるぜ、玄子」
元直さんが、ニマ~と笑った。
「で、元直殿は、どうやって
孔明殿と知り合ったの?
はい、次!元直殿の番です」
私は元直さんの代わりに進行役を努めた。
「え?俺も??」
ふっ、甘いぜ!元直さん!
「私も詳しく聞いた事はないな」
孔明さんが、いつもの口調で促した。
「しゃ~ね~な~」
元直さんは、孔明さんの笑顔をみて
安心しながら、ちょっと嬉しそう?に
話し始めた。
「俺って、こう見えても
剣、強いんだぜ」
もしかして、自慢話??
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