記憶の欠片
私が、孔明さんの知音?
畏れ多すぎて恐いくらいだ。
「孔明殿・・・・・」
孔明さんは、再び琴を 弾き始めた。
琴の音が、私の細胞まで 鷲掴みにする。
淋しいわけでも
悲しいわけでもなく
ただ、儚い・・・。
そんな想いを 抱えたまま
孔明さんの琴を聴いていたら
やっと、解った。
し~ちゃんが言ったように、
孔明さんがいつもと
変わらない態度であっても
それを冷たいとか、
哀しいと感じてしまうわけが
やっと解った。
その答えを今ここで
言葉にしない限り
孔明さんに出会った意味が
永遠に奪われてしまうような、
そんな気さえする。 何でだろう?
「玄子?」
ううん。その前からだった。
孔明さんに会ってからずっと
心のどこかで思い続けていた事・・・
私が意を決して椅子から立つと
孔明さんは弦を静めた。
「孔明殿の子期になりたいから
是非、で・・・・・で・・・・で・・・」
頭が痛くなって、
不思議な感覚の波が私を襲う。
「なんだ?
デートでもしたいのか?
今時の若者は大胆だなぁ~♪」
元直さんが冷やかす
「でーと?」
ち、ちが~う!!
孔明さんはそういう
気まぐれな対象じゃなくて
前世の記憶?
無くした記憶の欠片?
私は、重い頭に押し潰されるように
跪いた。
「孔明殿・・・・・
・・・・・私を・・・・・
弟子に、弟子にしてください」
あ・・・頭が割れそう・・・
それなのに、
「孔明・・先・・・生」
違和感無く呼べるのは何故だろう?
「孔明・・・先生、お願いします。
鳳雛先生でも 臥龍先生でもなく
孔明先生の 弟子にしてください
私は多分、そのために
今日まで生きて来たから」
言葉が勝手に
ジェットコースターに 乗ってしまった。
それにしても
無意識に懇願する私は
どうしたんだろう?
私じゃない、別の誰かが
乗り移っているような。
でも、本音。
「玄子・・・・・」
孔明さんが 跪く私の肩を 白羽扇で包みこんだ。
「玄子、実はーー」
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